Lifestyle magazine
for modern family

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DATE 2018.03.09

第3回 山野・アンダーソン・陽子より
「ママやパパのことを〈ファーストネーム〉で呼ぶ理由」

女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」と「ハハ」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。

山野・アンダーソン・陽子さんから長島有里枝さんへ。

 

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有⾥枝さんへ (早速、親しみを込めて)

すごい! 本当にお返事を頂けて嬉しいです。連載をはじめたら、有⾥枝さんとも知り合いだよ、と、何⼈かの友⼈たちから打ち明けられました。でも、有⾥枝さんがどんな⽅なのか? ということはまだ聞かないことにします。

それでも、「⽥んぼの真ん中でシングルマザー」と聞いただけで、有⾥枝さんがとても⼒強い⽅なのだと感じます。⼦供が⾼校⽣になるってどんな感じですか? ⼦育てのゴールはどんな感じで近づいていますか? ⾼校を卒業したら? 成⼈式を迎えら? それとも社会⼈になった時でしょうか? ……質問ばかりですみません。

スウェーデンでは家庭にもよりますが、早い⼈は16歳で家を出て、遅くても18歳の⾼校卒業で⼀⼈暮らしを始めます。家を出たら⼀応、⼀⼈前と⾒なされます。今まで出会った中では1⼈だけ、28歳まで親と⼀緒に住んでいたと恥ずかしそうに⾔っていた⼈がいるくらいです。

 

海外に⻑く住むってどんな感じでしょうね……。スウェーデンに住むということがここにいる⽬的の中⼼ではなかったこともあり、今まで深く考えてこなかったので聞かれると、さてどんなだろう? とかしこまります。⾃分が⽇本⼈だな、とスウェーデンにいれば思うし、私はスウェーデン⼈みたいだな、と⽇本にいれば思う感じがそれでしょうか。どこにいても⾃分がそこでの「⼀般的」や「普通」ではないのだということを感じさせられます。若い頃はそれが⼩さなコンプレックスだったのですが、慣れてどうでもよくなりました。それでも、有⾥枝さんも感じていらしたように、⼦供が⽣まれて、どうにか「普通」をしてあげたいと思うのですが、諦めて⾒失ってしまった「普通」ってなかなか取り戻せないものですね。

ましてや、私の住んでいる地域はストックホルムの中でもとてもリベラルで、かなり⾃由な社会ということもあり、「普通」が何なのか本当によくわからなくなります。⾃由とひと⾔で⾔ってもあまりピンとこないかもしれませんが、例えば、同性同⼠でも異性同⼠でも結婚できますし、しなくても家族として⽣活している⼈もたくさんいます。養⼦をとって家族を持つ⼈もたくさんいます(事実婚だと無理なようですが、結婚していれば同性婚でも養⼦は持てます)。精⼦ドナーを受けてシングルマザーになっている⼈もいますし、独り⾝で養⼦を受けて親になる⼈もたくさんいます。その養⼦もコロンビア、エチオピア、インド、中国、韓国、ベトナムなど、世界のあらゆるところから受け⼊れていて、両親と⼦供の遺伝的⼈種が違うということもたくさんあります。家にパパが⼆⼈いたり、ママが⼆⼈いたり、はたまた⼀⼈だったり、すでに両親が別れて別のパートナーがいることも普通なので、パパとパパのボーイフレンドと⼀緒に住んでいる⼦もいます。私たち世代の友⼈にも、別の国から養⼦としてスウェーデンに来て、ここでスウェーデン⼈として⽣き、家族を持っている⼈もたくさんいます。それに加え、⼤⼈になってから家族で難⺠としてスウェーデンに来た⼈もいるし、私のように勉強だったり、仕事だったり、何か⽬的を持って来た外国⼈もいます。そして、当たり前ですが、その⼈たちそれぞれに、それぞれの⽂化や習慣を持ち合わせています。そんな中で無意識に「普通」を探す⾃分の無謀さをたまにうっかり笑ちゃったりします。

 

そうですね、リード(このおしゃれな単語初めて使いました)の「⼥性は⼦供を産むとみんな『はは』になる」のが「当たり前のこと」とありますが、実は産まなくても「はは」になれるし、「はは」の代わりに「ちち」の場合もあるんですよね。ちなみに、まだものすごく浸透しているわけではありませんが、ママやパパが2⼈いる家族はみんなファーストネームで呼び合っています。これは、個⼈的には結構、⾯倒くさくて、友⼈の親の名前を覚えなくちゃいけないし、息⼦の友⼈の親の名前も覚えなくちゃいけないんです。ま、「いけない」ってこともないのですが、「〇〇ちゃんのママ」とか⾔うとちゃんと名前を覚えてないのがバレて、ちょっと失礼な感じが出てしまいます。

そんなことを⾔っても、私も昭和⼥の端くれで、息⼦にファーストネームで呼ばれるなんて、ちっともしっくりきません。私も有⾥枝さんと同じで「⺟」が⼀番しっくりきますね。息⼦も私を「お⺟さん」と呼びます。たまに間違えて「Mama〜」とスウェーデン語で呼んできた時に、「え? あたす?」と志村けんの真似をして答えますが、だ〜れも何も反応してくれません。これです、海外⽣活中です。

 

⼭野 A 陽⼦

 

追伸:私の感じる⼦育てですが、⻑くなりそうなので、また改めていつか書かせてください。

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次回更新は3/23(金)の予定です。写真家の長島有里枝さんからのお返事です。