15『エルマーのぼうけん』エルマーにも持たせてあげたいオレンジゼリー

子どもと一緒に読んで作って食べたい「おいしいおはなし」。小さな読者を夢中にさせる色彩にあふれた物語を。

りゅうの子どもを助けに行く時には31個のみかんをリュックに詰めて

物語を通じて、行ったことのない外国の暮らしぶりに触れられることは多いですが、今日の『エルマーのぼうけん』が見せてくれたのは、外国の色彩感覚だったような気がします。今でも、海外へ旅行へ行くと、看板やパッケージの日本にはない色使いに驚いたり心惹かれたりしますが、そういった色彩へのときめきを最初に教えてくれたのが、このおはなしだったのかもしれません。

物語は、エルマー少年が歳とったのら猫と出会い、りゅう(ここはやっぱり、龍でもドラゴンでもなく〝りゅう〟とひらがなで書くのがしっくりきます)の子どもを助けに行くところから始まります。このエルマーの冒険物語は全3冊に渡りますが、とにかく印象的なのが、りゅうの姿がどんなふうかということ。歳とったのら猫は、エルマーにこんなふうに説明するのです。

***

りゅうは、ながいしっぽをしていて、からだにはきいろと、そらいろのしまがありましたよ。つのと、目と、足のうらは、目のさめるような赤でした。それから、はねは金いろでした。(P.21

***

ドラゴンや龍のたぐいといえば、いわゆるハチュウ類的な緑や茶色の姿をイメージするものだったのに、この〝りゅう〟はなんてカラフルでポップな色柄だこと! その空色と黄色のシマシマに真っ赤をワンポイント使い、というコーディネートにわくわくしていたら、3冊目の『エルマーと16ぴきのりゅう』で明らかになるこのりゅうの子どもの親兄弟の色柄に、ますます胸踊ったことを覚えています。

***

ぼくたちはみんな金いろのはねがあって、足のさきと、つめは、赤いけれど、とうさんのからだのいろは、そらいろで、かあさんは、きいろなんだ。

 女のきょうだいは六匹とも、みんなみどりだけど、きみどりからあおみどりまであるんだよ。

 男のきょうだいはみんなそらいろときいろ。(中略)ひとりは、とりのたまごみたいにそらいろときいろのぽちぽちがまざりあっているし、ひとりはそらいろときいろのぶちなんだ。」(『エルマーと16ぴきのりゅう』P.64-65

***

そんなりゅうたちの姿が、あまりにくっきりとまぶたの裏に残っているものだから、カラー挿絵があったんだと思っていましたが、見直してみると挿絵はモノクロ。その挿絵に、アタマの中で勝手に色を塗って記憶していたようです。それほどまでに、言葉で描かれたりゅうの色柄は、強烈なインパクトを残したのでした。

もうひとつ、このおはなしの中で忘れられないのが「31個のみかん」です。列挙される色柄とならんで、本書にはエルマーが冒険に持って行ったアイテムの数や動物の数など、いろんな数字が登場します。色彩にときめきながら、数字を追いかける楽しみも、この本にはあるんです。この「31個」は、エルマーが冒険の食料にと「みかん島」で初めにリュックに詰めたみかんの数。それが、「エルマーは、みかんを七つおおいそぎでたべると(P.35)」「みかんを八つたべました(P.41)」「みかんを四つたべました(P.88)」と減っていくのを「足りるのかしら?」と、一生懸命数えながら読み進めたものです。

「それにしても、みかんばっかり食べてて飽きないのかな……」と子ども心に思っていましたが、改めて考えると、ビタミンCたっぷりで疲労回復にもいいし、果汁たっぷりでのどの渇きもうるおすし、みかんを持って行ったのは意外と正解だったのかもな……なんて思い直しつつ、今回は一手間加えて、オレンジまるごとでゼリーを作りました。このゼリーは寒天で溶けにくいですから、リュックに詰めて、冒険へ持って行くにもぴったりですよ。

『エルマーのぼうけん』R・S・ガネット著、わたなべしげお訳(福音館)色鮮やかな絵が印象的な表紙をめくると、「ぼくのおとうさんのエルマーが小さかったときのこと、……」と、おはなしは語り始められます。エルマーが歳とったのら猫から聞いたのは、どうぶつ島に捕らわれているりゅうの子どものこと。エルマーがりゅうを助けるための冒険に持って行く道具とその数、立ち寄る場所の名前、動物たちの個性、そしてりゅうの子どもの姿ーー次々と登場するものに、ワクワクが止まらないおはなしです。

MilK JAPONの
iPhoneアプリが登場

マガジンと連動したスペシャルなARコンテンツが楽しめたり、
ウェブのイベント情報をいち早くお届けできるアプリです。

MilK JAPON #35
AUTUMN-WINTER 2017