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『トム・ソーヤーの冒険』は少年の冒険小説の金字塔として、長く愛されてきた物語です。日本でも1980年にテレビアニメとして放送されたので、大人のみなさんの中にはオープニングの主題歌を覚えている人も少なくないかもしれません(なにをかくそう私もその一人です)。ミシシッピー川の自然や外国の街の中に描かれるやんちゃ少年の冒険の数々はとっても眩しく魅力的でした。
その後、もう少し大人になってから手にしたのが、家の書棚にあった文庫版の『トム・ソーヤーの冒険』。おはなしの舞台は1830〜40年代のアメリカ南部で、アニメには描かれていなかったその当時のおかしな迷信やまじない、あるいは人種差別なども描かれ、今とは異なる時代の物語なのだということを改めて実感したものです。
ですが、それがおはなしへのまぶしい憧憬を損なうかというとそんなことはなく、トムとハックたちの日々は小説で読んでもやはり魅力的です。
主人公のトムは、大人の目を盗んでいろんな冒険をしながら、虫や花を相手に自分の運を占って一喜一憂したり、好きな子の気を引くために小さな努力を積み重ねたり、許しを得るために自己犠牲を払ったり……小説で描かれている彼らの方がよりやんちゃで不良で、でもその分そのやさしさや誠実さが際立つようにも思います。
このおはなしは、著者マーク・トウェインの自伝的小説であると言われていますが、「ヘンなことに真剣になるのはいつの時代も男子のサガなのか!?」というエピソードも多数。たとえばお話の前半、トムの盟友のハックの初登場シーンではふたりでえんえんと5ページ以上に渡って「イボを取るおまじないの数々」について議論し、最後にはハックが「今年初めて見たダニ」を自慢、それが欲しくなったトムは「その朝抜けた歯」を自慢、それぞれの価値を認め合った二人はそれぞれの宝物を交換しあって満足する……という男子ワールド炸裂なシーンが登場します。
そんな大人の目からみればくだらないかもしれないエトセトラを著者は少しも省くことなく、丁寧に描いています。おかげでそれを読んでいるうちに、自分の子ども時代にもディテールは違えども似たようなことに夢中になったな……と懐かしい気持ちになり、彼らのサスペンスに満ちた冒険に引き込まれていくのです。著者は、まえがきにこんな風に書いています。
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大人たちに、自分がかつてどんなだったか、どんなに感じ、考え、話したか、そしてときには、どんなに奇妙なことをくわだてたかを、楽しく思いだしてもらおうというのが、わたしのもくろみの一つだったのだから。(P.3)
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トウェインさん、その目論見は、170年経った今もなお、有効のようですぞ!
さて、そんな前前世紀のアメリカを舞台にしたおはなしに登場するおいしいものといえば、トムたちの家出の際のキャンプ料理です。海賊と称して家出したトムたちが無人島で食べる最初の朝ごはん、釣ったばかりの魚とベーコンのソテーは、「こんなにうまい魚は食べたことがない」(P.177)おいしさだったということで、昔も今も、冒険はやっぱり最大の調味料なのですね。