23『おちゃめなふたご』夜中のパーティのサーディンサンド

子どもと一緒に読んで作って食べたい「おいしいおはなし」。英国の女子校寄宿舎ライフが描かれたシリーズから、1冊目に登場した秘密のパーティのメニューを。

真夜中の飲み食いはいくつになっても魅惑的

初めて本のジャケ買いをしたのはこの本だったかもしれません。『おちゃめなふたご』の当時のカバーは、白いシンプルな背景にカラーのイラストで、主人公の双子、パットとイザベルが描かれていました。イラストレータは田村セツコさん。おしゃれでチャーミングな女の子のイラストにズキュンと撃ち抜かれたハートは、本を読み始めると今度は、主人公の双子を中心にした女子校の寄宿舎生活への憧れいっぱいになりました。

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翌日、ふたごはおかあさんといっしょにパディントン駅にいきました。ホームには〝クレア学院〟と名札のかかった専用列車がとまっていました。休暇を終えて学校にもどる、なん十人もの少女たちがホームいっぱいにあふれています。(P.12)

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この休暇明けの駅のホームのシーンは、ハリーポッターでもおなじみになりましたが、『おちゃめなふたご』で初めてここを読んだ時は、学校に行くのに修学旅行に行くみたい! と、それだけでもう寄宿学校生活にトキメキを覚えたものです。

パットとイザベルの双子が入った学校は、良識のある全寮制の女子校。もっとキラキラした学校に行きたかった二人はとにかく「こんな学校に来たくなかった」という態度を露骨にして学校に足を踏み入れます。そして「誰も仲良くしてくれない」と嘆きながらも、強気な態度は崩しません。

このひねくれものの双子だけではありません。登場する女の子たちは、ときに見栄をはりすぎ、ときに調子に乗ってやり過ぎ、失敗したりトラブルを引き起こしたりします。そしてそれぞれの事件を、ひとつ屋根の下に暮らす先生や同級生たちが一緒になって考え、見守り、解決していきます。そのたびに、ぐっと心の距離が縮まるのです。

考えてみれば、寄宿学校生活は、学校でケンカしても寮で顔を合わせなきゃならないし、寮でケンカしても学校で顔を合わせなきゃならないし、「仲直りすること」が当たり前のようにできることが大事。本の中の寄宿学校で、潔く「ごめんね」を言って仲直りする少女たちの姿が、いちばんの憧れのだったのかも、と大人になった今読み返すと感じられたりもします

そんな憧れの寄宿学校生活の中で、一番印象的なシーンが、秘密のパーティ。先生に内緒で寮の部屋にみんな集まって、「ポークパイ、チョコレートケーキ、サーディンにミルクチョコとペパーミントクリーム、かんづめのパイナップルにシャンペン」(P.67)と、おいしいものを食べに食べまくるのです。しかも、真夜中に。寝巻き姿の女の子たちがこっそりと、かつワイワイ楽しそうにごちそうを食べるその姿に、「なんて楽しそうなの!」と、寄宿学校生活への憧れが確固たるものになりました。

しかし、真夜中に何かを食べるという行為には、大人になった今も、ダメだということが分かっているからこその抗いがたい魅力を感じます……! その魅力を最初に教えてくれたのも、この寄宿学校の物語だったのかもしれません。

『おちゃめなふたご』E・ブライトン著、佐伯紀美子訳(ポプラ社)イギリスの寄宿学校を舞台に、主人公のパットとイザベルの双子と同級生たちが繰り広げる物語。シリーズ全6冊。学校の教室で起きることだけでなく、共同生活の日々の中で起きる様々なエピソードは、時代を超えて女の子の共感を得るはず。改訂版も変わらず、田村セツコさんのキュートな少女たちがカバーや挿絵で物語を彩ります。

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