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DATE 2017.07.11

20『太陽の子』てだのふぁ・おきなわ亭のラフティー

子どもと一緒に読んで作って食べたい「おいしいおはなし」。沖縄料理を味わったら、沖縄の文化と歴史にも心を寄せて。そのきっかけになる一冊をご紹介。

おいしさの秘密は「まごころ」

本を読んでおはなしの世界を旅していると、冒険が楽しくてワクワクしたり、知らなかったことを知ってドキドキしたり、憧れの美しい世界にうっとりしたりできます。そしてときに、問いかけに出逢うこともあります。夢中になってめくっているページの向こうからのぞいているもう一人の私と目が合ってしまったような、そんな感覚です。その目は、「あなた=私ならどうする?」「あなた=私はどう思う?」と問いかけます。

今思えば、そういう「問いかけとの出逢い」を促す物語が多かったような気がするのが、夏休みの読書感想文の「課題図書」でした。この灰谷健次郎の『太陽の子』も、そんなふうに「読んでね」と、学校や大人から薦められていた本のひとつでした。

物語は、神戸に暮らす6年生のふうちゃんが主人公。ふうちゃんのおうちは「てだのふぁ・おきなわ亭」という沖縄料理屋さんです。お父さんもお母さんも沖縄の人で、お店には沖縄出身者を中心に近所の人が集まります。ふうちゃんは神戸生まれ神戸育ちで、大人たちから沖縄の美しい自然のことや島唄を教えてもらって育ってきたものの、自称「神戸党」で、沖縄のことはよく知りません。しかし、あることをきっかけに、周りの大人たちが生まれ育った沖縄のことを、なぜ彼らが今神戸に暮らしているのかを、知りたいと思い始めます。

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みんなは、わたしをとてもかわいがってくれます。私をかわいがってくれる人は、わたしをかわいがってくれる分だけ、つらいめにあってきたのだということが、このごろのわたしには、なんとなくわかるのです。だから、わたしはいっそう、みんなのことを知りたいのです。知らなくてはならないことを、知らないで過ごしてしまうような勇気のない人間に、わたしはなりたくありません。(P.276)

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小学校6年生のふうちゃんのまっすぐな瞳は、大人たちをたじろがせ、そして力を与えます。読み手にも、「自分が立っている今は、どこからどう続いてきたのか、知っている?」と、問いかけ、それについて考えるきっかけを与えてくれます。そういう、向き合い方や態度を、小学校6年生のふうちゃんと、彼女の周りの人々は、教えてくれるのです。

おはなしには、沖縄の料理や唄、自然もたくさん登場します。そのなかから、沖縄料理の真打をご紹介! ふうちゃんのおかあさんの自慢のラフティーです。おいしく仕上げるには秘法秘伝がありますが、おかあさん曰く大事なのはやっぱりまごころだそう。

たくさん心を揺さぶられる物語を読んだ後は、お腹が空きますから、そんな沖縄のとっておきでエネルギーをチャージしましょう。そして、「てだのふぁ・おきなわ亭」に集う大人たちと、ふうちゃん(きっと強くて優しいかっこいい女の人になったんだろうな!)のことを思いながら、私たちは今年の夏も元気に一生懸命、毎日を生きるのです。

『太陽の子』灰谷健次郎著(理論社)ふうちゃんは神戸に暮らす小学6年生の女の子。沖縄出身のお母さんとお父さんが営む沖縄料理店には、常連さんが今日も集い、沖縄自慢や島唄に大盛り上がり。そんな中、「私は神戸党!」と主張していたふうちゃんが、お父さんの病気、沖縄生まれのキヨシ少年との出会いをきっかけに、少しずつ変わり始めます。