07『パディントンのクリスマス』クリスマスプディングの銀貨の行方

子どもと読んで作って食べたい「おいしいおはなし」をご紹介。今日は世界一有名なクマと楽しいクリスマスを。

パディントンと一緒に楽しむイギリスの冬

世界一有名なクマといえば、誰を思い浮かべますか? 近年はあの不良中年グマの〝テッド〟がハバを利かせていますが、元祖クマのスターと言えば、ダッフルコートがトレードマークの〝パディントン〟です。最初に本が出版されたのが1958年ですから、パディントンは実に約半世紀に渡って、本に映画にキャラクター商品にと、人気を保っているスターなのです。
ルックスのかわいさはもちろんですが、パディントンの魅力は、その好奇心のおう盛さです。どのページを開いても、気になることをとことん調べ、知らないものにチャレンジし、買い物も丹念に商店を回ってお買い得品を探すパディントンの姿があります。
ペルーからやってきたパディントンにとって、暮らし始めたロンドンは見るもの聞くものが新しいことばかり。賢くてユーモラスなパディントンの目を通して、読む人は英国の日常や習慣に触れていきます。
シリーズ2冊目の『パディントンのクリスマス』では、日常の珍事件のほかに、大きなたき火と花火を楽しむ11月の「ガイフォークスデー」や「クリスマス」などイギリスの冬の風物詩が描かれます。パディントンがクリスマスの買い物に出かけるのは、いつものデパートではなく、超高級百貨店。英国の階級社会そのものが体現された店の雰囲気に店員の物腰に、さすがのパディントンも緊張気味……でもペースは崩しません。

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……前足で、ポンポンと軽くコートをはたきました。そのとたん、小さなほこりのかたまりがパッと宙に舞い上がり、それから、ゆっくりと、ピカピカに磨き上げられたカウンターの上に落ちていきました。店員は、あっけにとられて、じーっとそれを見ていました。
 パディントンは、店員の視線を追いました。
「それ、きっとさっき歩道でついたんだと思います。」と、パディントンは、釈明のためにいいました。「ぼく、回転ドアのところで、事故にあったんです。」
店員は、軽くせきをして、「それはそれは、とんだご災難で。」と、いいました。(P148-149)
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ブラウン家の家政婦でありパディントンの一番の理解者であるバードさんは、「おまえは、ただの小さいクマかもしれないけれど……でも、確かに、行く先々にあとを残すわね(P168)」と彼を評します。好奇心のおもむくままに、あちらこちらで多少の騒動を起こしても、愛らしく礼儀正しいパディントンだから、関わった人々、読んだ人々の心に忘れられない思い出を残していくのです。
さて、いよいよクリスマスの日。この日はどうもいつもとはあべこべで、パディントンよりまわりの人たちの方が珍事を引き起こしてしまうのが面白いのですが、それもこれもみんながパディントンを大好きだからに他なりません。
イギリスのクリスマスといえばクリスマスプディング! 昔はクリスマスの1ヵ月ほど前になると各家庭で作って軒先に吊るし熟成させていたそうです。今回は当日に思い立って作っても間に合うレシピをご紹介。あ、中には銀貨を1枚入れるのをお忘れなく。銀貨入りのピースが当たった人には、来年いいことがありますよ。
『パディントンのクリスマス』M・ボンド著、松岡享子訳(福音館書店) ロンドンのブラウン家で暮らすクマのパディントン。その独特のモノの見方とチャレンジ精神で、毎日いろいろな騒動を起こします。お値打ちでカメラを買い、ガイフォークスデイの花火を楽しみ、クリスマスの準備に奔走し……いろいろな珍事件に巻き込まれながらも、ブラウンさん一家は思うのです。「パディントンがいなくなれば、うちはもううちじゃなくなるような気がするわ。」

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