Lifestyle magazine
for modern family
DATE 2016.12.05

06『やかまし村の春・夏・秋・冬』スウェーデンのクリスマス料理

子どもと一緒に読んで作って食べたい「おいしいおはなし」をご紹介。今回は北欧の暮らしを楽しむ一冊です。

スウェーデンの農村の四季と暮らしを体験する

素材を活かしたデザインや自然をモチーフにしたやさしい色合いが人気の北欧の雑貨や家具。そこには、短い夏は淡い光に包まれた美しい自然を謳歌し、長い冬は家の中で心地よい時間を過ごすという、北欧のライフスタイルが反映されています。そんな日本から遠く離れた国の暮らしの魅力を最初に教えてくれたのは、リンドグレーンの書いた「やかまし村」シリーズでした。
全3冊からなる「やかまし村」シリーズは、スウェーデンのある農村「やかまし村」に暮らす3つの家族の6人子どもたちのことを綴った物語です。主人公のリーサ、ラッセにボッセ、オッレにブリッタにアンナ。まずその独特の名前に興味をひかれて読みはじめると、四季折々の遊びや北欧ならではの行事に彩られた彼らの毎日に夢中になります。読んでいると、まるでやかまし村にホームステイしているように、その暮らしを知ることができます。
シリーズ2冊目の『やかまし村の春・夏・秋・冬』は、クリスマスの準備から始まります。子どもたちはクッキーを焼き、モミの木を森へとりに行き、クリスマスを心待ちにするのですが、クリスマスイブの前の日の夜、主人公のリーサは散らかった台所を見て「とても準備が終わらないんじゃないか」と悲しくなります。でもお母さんはさすがです。リーサが朝起きると、鍋はぴかぴか、床には新しい敷物が敷かれ、家の中はクリスマスの雰囲気に満ちています。

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テーブルにはロウソクが立ち、食べものがどっさりならんでいましたが、わたしは、だいたいハムしかたべませんでした。ええ、もちろんおかゆはたべました。おかゆには、アーモンドがはいっているかもしれないからです。(P.25)
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クリスマスにおかゆにアーモンド? と頭にハテナが浮かびそうですが、これがスウェーデンの伝統。おかゆにアーモンドが入っていた人は翌年に結婚すると言われているんだそうです。主人公のリーサはおかゆを食べるために、ごちそうでお腹いっぱいになりすぎないようにしたのでしょう。でも子どもが結婚を気にするの!? と思いますが、女の子たちはやっぱり男の子たちより大人です。結婚についてもちゃんと考えがあることが後に語られます。
それにしてもやかまし村のクリスマスのごちそうはどんなものだったのでしょう。スウェーデンのクリスマスはユールボードというクリスマス・ブッフェ。ニシンの酢漬けやサーモンなどの冷たい料理からミートボールやハムのグリルなどの温かい料理までがずらりと並ぶそうです。
リーサはハムしか食べていないようですが、テーブルにはきっと「ヤンソンさんの誘惑」もいい匂いを漂わせせていたに違いありません。「ヤンソンさんの誘惑」とは、じゃがいものグラタン。こちらもユールボードの温かい料理の代表選手です。北欧の暮らしから生まれた、シンプルで素材を生かした一品。大人も子どもも大好きなやさしい味に仕上げました。冬の食卓にぜひ。
『やかまし村の春・夏・秋・冬』リンドグレーン著、大塚勇三訳(岩波書店) 南屋敷、中屋敷、北屋敷の3家族が暮らすやかまし村の日常を、子どもたちの目線で綴る「やかまし村」シリーズ。2冊目の本作では、クリスマスから夏休み、そして秋になって学校が始まる頃までの一年間の出来事が描かれます。子どもはきっとやかまし村の一員になりながら、大人はきっと子ども時代を思い出しながら読み進むことでしょう。子どもたちを見守りながらやかまし村のおじいさんも言います。「ほんとに、子どもだっていうのは、いいもんだなあ。」