05 『風にのってきたメアリー・ポピンズ』コリーおばさんのジンジャー・パン

子どもと一緒に読んで作って食べたい「おいしいおはなし」をご紹介。今日は夜空に光る星の秘密が分かるかも。

メアリー・ポピンズと一緒なら素朴なおやつも特別になる

ジュリー・アンドリュース主演の『メリーポピンズ』はたくさんの名曲に彩られたミュージカル映画ですが、原作の本「メアリー・ポピンズ」シリーズは、たくさんの素朴なおやつで彩られています。お茶の時間に欠かせないバタ付きパン、砂糖衣のかかったケーキ、麦アメにアイスキャンディー、ビスケット。どれもがメアリー・ポピンズの〝魔法〟をステキに演出する名脇役です。
シリーズ第1作は『風にのってきたメアリー・ポピンズ』。メアリー・ポピンズがバンクス家にやってきて乳母になるところから始まります。子どもたちの世話を「魔法でも使っているかのように」テキパキとこなすメアリー・ポピンズに、子どもたちが慣れ親しんできたある日。物語にジンジャー・パンが登場します。実はこれ、夜空に輝く星と親密な関係があるんです。
バンクス家の子どもたちをつれておつかいに出たメアリー・ポピンズ、肉屋でソーセージを2ポンドに、魚屋でドーバー・カレイ、ヒラメ、クルマエビにイセエビ(なんて豪華な!どんなごちそうになるのか)を買うと、ジンジャー・パンを求めてまた歩き始めます。おつかいに飽き飽きしていた子どもたちは、最後のおつかいがジンジャー・パンだと知ると、大喜び。しかもお店に着いてみると、そのジンジャー・パンはいつものと違ってステキなこと!

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そのたいらな、一つ一つのお菓子には、金色の星飾りがいちめんについていて、そのかがやきのために、店のなかが、ほんのりあかるく見えるかと思われるほどでした。(P.165)
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こんなステキなお菓子を作るお店のオーナーのコリーおばさんとその娘たちがまたとても個性的(ちょっとコワイんですけれど。メアリー・ポピンズその人も、映画の中の彼女とはちょっと違って第一印象はコワイ感じでした。絶対歌なんて歌わなそう、と思ったものです)。
「メアリー・ポピンズ」シリーズの最大の魅力は、このユニークな登場人物たちです。バンクスさん一家にそのご近所さんや公園番などの市井の人々、メアリー・ポピンズの不思議な親戚たち、動物たちに大空の星座たち……みんな彼女に尊敬の念と愛情を持っています。私たちも気付けば(映画よりコワイ人なんて思ったことを忘れて)メアリー・ポピンズが大好きになっています。
そういえば、映画版の中に出てくる歌の歌詞にこんな一節があります。「It’s a jolly holiday with Mary, Mary makes your heart so light!(メアリーと一緒の楽しい休日、心うきうき!)」。
私たちにも、ページを開けば「メアリーと過ごす心うきうきな一日」が待っています。曇った寒い日には、あったかくしたおうちで、メアリー・ポピンズとその友人たち会いに行ってみてください。おやつは、生のしょうがをたっぷり使った星形のジンジャークッキーでいかがですか?
『風にのってきたメアリー・ポピンズ』P. L.トラヴァース著、林容吉訳(岩波少年文庫) メアリー・ポピンズはバンクス家の乳母。メアリー・ポピンズと一緒なら、毎日は不思議にあふれた大冒険。「ねえ、あれはほんとなの? 夢なの?」そう問う子どもたちにメアリー・ポピンズはふふんと鼻を鳴らして言うのです。「だれだって、じぶんだけのおとぎの国があるんですよ」。

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