03『いじめっ子』偏食っ子ジルのためのピーナッツバター・サンド

子どもと一緒に読んで作って食べたい、「おいしいおはなし」をご紹介。今回はアメリカの小学校を舞台に。

学校という世界は甘くてしょっぱい

子どもの頃学校には、苦手な先生もいるけど好きな先生もいて、放課後には友だちと延々おしゃべりをして笑い合って秘密を分かち合って……と楽しく愉快である一方で、ダークな面もありました。パワーのある女子チームに目の敵にされた日にはコワかったし、仲良しだと思っていた友達が二人だけの秘密を別の子にバラしてしまったり、陰口を叩かれていたことを知ってしまったり。子どもの世界って、なかなかにシビアだったなあ……と、そんなことを思い出させるのが、『いじめっ子』という物語。アメリカの小学校を舞台に子どもたちの日常が描かれます。
学校世界では、些細なことをきっかけに、いじめっ子といじめられっ子という構図が生まれます。そしてその構図は、またちょっとしたことで逆転します(子どもの頃に読みながら「このイヤな子、〇〇ちゃんみたいだな」と思ったことを白状します)。
お話の後半、わたし=ジルが女王様のウェンディのいいなりになっている様子に、親友のトレイシーが放つ一言が痛快です。

***
「あんたどう思う?」
ならんでバスをおりながら、わたしはトレイシーにたずねた。
「あんたはウェンディがこわいんだと思う。」
とトレイシーは答えた。(P.212)
***

この物語には、大人になってから読むと「なんてこと!」と眉をひそめたくなりそうな子どものふるまいが描かれていますが、訳者の長田敏子さんがあとがきに書いているように「そこには、相応の報いが用意されていません」。それは著者の、子どもの世界の成り行きをそのままに描くことで読者に自分自身の結論を導き出してほしい、という願いです。
主人公ジルもトレイシーとひどいイタズラをするわ、その反省の掃除中にもとんでもないことをしでかすわ、決して「いい子」ではありません。でも読んだあと、きっと子どもたちは、物語の向こう側で成長していくのだろうな、と思うのです。自分にとって大切なものはなにか、それを守ってこのシビアな世界をうまく泳いでいくうまい方法はなにか、ということを見出しながら。そしてそこには家族や親友という厳しくやさしい絶対的な味方がきっといつもいてくれるはず。
ちなみに、主人公ジルはひどい偏食っ子でもあります。いつもピーナッツバターのサンドイッチばっかり食べています。招待されたパーティの最中にも、嫌いなものオンパレードのテーブルを離れ、こっそり持ってきたピーナッツバター・サンドをトイレで食べるのです。そして、なぜだかその「こっそり食べる(しかもトイレで!?)」ピーナッツバター・サンドがやたらとおいしそうに感じられたものでした。

さて今回は、パーティなのに腹ぺこなジルのために、2種のピーナッツバター・サンドを作りました。ちょっと大人な塩気のあるものと甘ぁいスイーツ的なもの。現実世界のみなさんも、子どもたちの学校世界のできごとに耳を傾ける際には、このしょっぱい/甘いをお伴にどうぞ。
『いじめっ子』J・ブルーム著、長田敏子訳(偕成社文庫) アメリカのペンシルベニアに住むジルは5年生。親友のトレイシーとは別のクラスだが、学校ではクラスメイトと一緒に楽しく過ごしている(ジルが両親を見つめる目も鋭くて面白い!)。そんなある日、あることをきっかけに、女王様的存在のウェンディを中心にしたいじめっ子たちの一員だったジルは、いじめられる側に立つことになるのだが……。

こっそり食べたいピーナッツバターのサンドイッチの作り方

甘いサンド(1人分):
 食パン(8~10枚切)・・・2枚
 ピーナッツバター・・・適量
 ビスケット・・・1枚
 削ったチョコレート・・・大さじ1

しょっぱいサンド(1人分):
 食パン(8~10枚切)・・・2枚
 ピーナッツバター・・・適量
 アボカド・・・1/4個
 生ハム・・・2枚
 レモン汁・・・少々
 塩・・・ひとつまみ

1)甘いサンドの準備。ビスケットをビニールに入れて上からたたき荒く砕いておく。食パンはトーストし、内側になる面にピーナッツバターを塗る。

2)甘い具をはさむ。パンが温かいうちに削ったチョコを広げ、ビスケットを散らし、パンでサンドする。お皿などをのせて重しにするとよい。

3)しょっぱいサンドの準備。同じくパンはトーストし、ピーナッツバターを塗っておく。アボカドをスライスする。

4)生ハムをちぎってピーナッツバターを塗った上にのせ、アボカドを重ねレモン汁と塩をふり、バンではさみ、こちらも重しをする。

5)共によく切れる包丁でカットし、できあがり。

POINT ピーナッツバターはジルも食べていたかもしれない、アメリカ産のものをぜひ。日本のとくらべて砂糖はひかえめ、塩も効いていておいしいですよ。
Photograph: Shinsaku Kato
Food & Recipe: Kiyoe Yamasaki
Styling: Reiko Ogino
Edit & Text: Sachiko Kawase
DATE 2016.10.25
<
>

MilK JAPONの
iPhoneアプリが登場

マガジンと連動したスペシャルなARコンテンツが楽しめたり、
ウェブのイベント情報をいち早くお届けできるアプリです。

MilK JAPON #33
AUTUMN-WINTER 2016