02『ふたりのロッテ』双子のためのインピリアル・ホテルのオムレツ

子どもと一緒に読んで作って食べたい「おいしいおはなし」。双子の姉妹が知恵を絞って両親を取り戻すお話。

子どもの勇気と賢さに敬意を表して

ドイツの児童文学者エーリヒ・ケストナーの書く物語には、いつもカッコイイ子どもたちが登場します。子どもの世界には毎日たくさんの重大な事件があり、子どもたちは大人と同じように悩んだり泣いたりしながら、日々それらに一生懸命に立ち向かっているということ――そして自分にもそういう子ども時代があったのだということ――を思い出させてくれます。ケストナーは別の本の中で読者の子どもたちにこう言います。「どうして大人はそんなにじぶんの子どものころのことをすっかり忘れることができるのでしょう?(中略)みなさんの子どものころをけっして忘れないように!」(『飛ぶ教室』P.19)
さて、今回の『ふたりのロッテ』に登場するのは、ルイーゼとロッテという双子。双子モノは種明かしをしてしまうと物語を読んだときの面白さが半減してしまうので慎重に説明すると、姉妹がその勇気と賢さで、離れてしまったおとうさんとおかあさんを自分たちの元へ取り戻す物語です。大人顔負けのふたりの立ち回りはあっぱれ! たとえば、ウィーンのオーケストラの楽長であるおとうさんの演奏会に必ず現れるゲルハラ嬢について、彼女らは注意深く観察します。

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ちいさい少女たちは、なにかつじつまの合わないことがあると、すぐ感づきます。おとうさんが子どものオペラについては話をするのに、ゲルラハ嬢についてはだまっていると、――小さいけだもののように、どこから危険がくるかをかぎつけます。(P.116)
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子どもたちは大人が思っている以上に大人だし、物事が分かっているのです。作者のケストナーと双子は、小さな子どもの悲しみも大人の悲しみと同じように深く、小さな子どもの考えは大人の考えと同じように真剣なのだと教えてくれます。
そして、物語の中で双子が知恵を絞って大人を出し抜いたり、勇気を出して大人と対峙したりするさまは実に痛快だし、読みながら誰もが「がんばれ!」とふたりを応援してしまうでしょう(しかし、これを読んだときつくづく「私も双子に生まれたかった!」と思ったものです)。

さて、双子のパワフルで強気な方、ルイーゼの好物は、インピリアル・ホテルのオムレツです。おとうさんとルイーゼは、ホテルの食堂の常連なのです。おとうさんと真っ白いテーブルクロスをはさんで向かい合い、彼女がいつも食べるのはオムレツ。それはきっとシェフが腕を振るった、ぷるんと黄色く美しいオムレツです。
今回はそこに、おかあさんだったらきっとオムレツと一緒に食べさせたい野菜をプラス。やさしい色合いのにんじんのソースを添えました。にんじん嫌いの大人も子どもも、ルイーゼもロッテも、きっとおかわりしたくなるはずです。

DATE 2016.10.12
『ふたりのロッテ』E. ケストナー著、高橋健二訳(岩波書店) 物語は、スイスの湖のほとりの村のサマースクールの様子から始まります。そっくりなふたりの少女、ロッテはウィーンから、ルイーゼはミュンヘンからやってきたのです。夏が終わると、彼女たちは秘密のミッションを携えて、ウィーンとミュンヘンに帰っていきます。それぞれの街で、家で、双子たちの活躍が始まります。さて、ふたりの計画の行く末は……。

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