01『赤毛のアン』おもてなしで作った真っ赤なゼリーのレヤーケーキ

子どもと一緒に読んで作って食べたい「おいしいおはなし」をご紹介。初めましての今回は、あの名作から。

あこがれの人に作った美しいケーキ

子どもの頃に読んだ文学のなかには、言葉で綴られているだけに創造力をかき立てる、世界のどこかの見たこともない食べ物や、なぜかいつもよりぐっとおいしそうに思えるメニューが登場してました。
タイトルは忘れたけど、出てきた料理だけ鮮明に覚えている、なんていうこともしばしば。
このコラムでは、そんな「おいしいもの」視点で、子どもの文学を紹介していきます。
ぜひ子どもと一緒に作って食べて、その料理が登場するお話を読んでいただければ、うれしいです。
 初めましての今回は、名作中の名作『赤毛のアン』の登場です。
マシューとマリラに引き取られたアンは、さまざまな事件(有名なのは親友のダイアナにいちご水と間違えてぶどう酒を飲ませてしまった「ティー・パーティの悲劇」)を起こしながら成長し、その創造力と美しいものに対する感性を伸ばしていきます。
本当は農作業を手伝ってくれる男の子が欲しかったマシューとマリラですが、二人は次第にアンを心から大切に思い、我が子のように育てていくことになります。
成長したアンが、自分が男の子だったら年老いたマシューを手伝えるのに……と嘆く場面のマシューの言葉は、本当に温かく、愛に満ちています。
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「いいかい?ーー12人の男の子よりいいんだからね。そうさな、エイヴリーの奨学金をとったのは男の子じゃなくて、女の子ではなかったかな?女の子だったじゃないかーーわしの娘じゃないかーーわしの自慢の娘じゃないか。」(P.319)
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この物語の魅力は、人々を虜にするアンの魅力そのものです。
いろいろな形でアンの人生に関わった人たちはみな、このマシューの言葉と似たような思いを胸に抱き、読んだ人もまたアンという人物に魅了されていきます。
魅了されるといえば、この物語に登場する風景や食べ物も忘れられません。
今回紹介する「レヤーケーキ」は、スポンジケーキを重ねたものですが、このシーンは、アンのあこがれのミセス・アランを招いたお茶会。
テーブルはまさにアンの美意識炸裂のバラとシダをどっさり使ったスタイリングで、そこでトリを飾るのが真っ赤なゼリーをはさんだ美しきレヤーケーキだったのです。
何もかも完璧なはずだったのに、アンはここでまさかの大失敗!
失敗の詳細は、アンの名誉のためにここでは伏せておきましょう。
さて、おうちで上手にスポンジケーキを焼くのは大変ですが、今回は簡単に、しかもオーブンがなくてもできる、レヤーケーキを作りました。
赤毛のアンを読んで大人になった人も、読んだけど忘れちゃった人も、初めての人も、次の週末にぜひ子どもたちと作ってみてください。
そして食べたら『赤毛のアン』のページを開いてみてください。

『赤毛のアン』モンゴメリ著、村岡花子訳(ポプラ社)カナダの東海岸にあるプリンス・エドワード島の自然を舞台に、みなし子のアンが引き取られて来るシーンから物語は始まり、感動屋さんでよくしゃべり感性鋭い彼女が、さまざまな出来事を経て成長し、大人になるまでが描かれている。ぜひ、この物語を日本に紹介しNHKの朝ドラ「花子とアン」のモデルにもなった、村岡花子さんの翻訳で。

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