歴史をモダンにアップデートし、
時代の空気とともに変わり続ける
〈Bonpoint(ボンポワン)〉。

〈Bonpoint(ボンポワン)〉のアーティスティック・ディレクターを務めているクリスティーヌ・イナモラートが来日。銀座のコンセプトストアやボンポワンにかける想い、そしてファッションの楽しみ方について、MilK JAPON読者に語ってくれた。
〈Bonpoint(ボンポワン)〉のアーティスティック・ディレクター、クリスティーヌ・イナモラート。

〈Bonpoint(ボンポワン)〉のアーティスティック・ディレクターを務めているクリスティーヌ・イナモラートは2階のテーブルに置いている花瓶を見て「中央に置くのは嫌いなの。クラシックすぎるから」と微妙に位置を修正する。銀座の中心に建つアジア初のコンセプトストアは、ショップの立地や建物、内装、インテリアと細部にまで彼女のこだわりが光る。一切妥協のないスペシャルなショップなのだ。

銀座のコンセプトストア。部屋のような店内にはおもちゃや家具もディスプレイされている。

ショップの2階は壁やフロアが区切られており、子ども部屋をイメージさせる。ガーリーな女の子な部屋やおもちゃいっぱいの男の子の部屋が再現され、遊び心溢れるヴィンテージ小物やアンティーク家具で溢れている。「スウェーデンやパリ、イギリスのアンティークショップから購入した家具やおもちゃに手を加え、オリジナル感を出しています」とクリスティーヌはクリエイティブな1面を覗かせる。彼女はこのショップを“メゾン(家)”と呼び、それはショップに足を踏み入れれば感じることのできる、どこかアットホームな雰囲気を醸し出している。「ボンポワンの世界観を五感で感じてもらいたかったので、日本にこのメゾンを作ることにこだわっていました。なので、この1920年代に建てられた建物を見つけたとき、とても嬉しかったです」。古風で可愛いアーチ状の窓やどこか懐かしい建築様式をとても気に入ったようだ。「建物の持つ雰囲気はキープしつつ、でもボンポワンらしさを表現したかったんです。なので手を加えることは最小限にとどめ、シンプルだけどおしゃれに見える、まさにフレンチタッチで完成させました」。

〈Bonpoint(ボンポワン)〉のシンボルのチェリー。

ボンポワンが“メゾン(家)”を表現する理由の1つは、大人も子どもも心地よい気分になって欲しいというブランドのフィロソフィーがあるからだ。柔らかな口調で、楽しそうに話すクリスティーヌは、「ボンポワンのお店に来ていただいたお客様みんなにハッピーになってもらいたいんです。ものを売るということだけではなく、ブランドの雰囲気をお店で感じ、幸せな気分になれたら。それがブランドの基盤であり、私たちの強みです。楽しむということを真面目に考え、私たちが手がけるもの全てのクオリティーを追求しています。単に店舗を増やすためだけではなく、立地、環境、全てが整い、ここならお客様が楽めると確信したとき、初めて話が進みます」。そんなこだわりの強い彼女が特に気に入っているというのはアーティスト、田中健太郎の作品だ。「桜を描いてもらいました。ボンポワンのシンボルはチェリーなので、チェリーブロッサム(桜)を見た時、共通点を感じたんです。これ、手書きなんですよ」。ダイナミックな桜の木は美しく、ソフトなカラーだが強さもあり、店の雰囲気作りに一役買っている。「ボンポワンと他ブランドの違いは、親子共々心地よいショッピング空間を作るために、あえて遊びたくなるようなレイアウトにしているところ。大人はもちろん、子どもたちにも楽しんでもらいたいですね」。遊べるスペースや実際に手に取ることが可能なおもちゃたちもそんな彼女の思いから設置されているのだ。

店内に描かれたアーティスト、田中健太郎による桜の絵。

美術史の勉強をし、1年後にパリのエスモードでデザインを学んだクリスティーヌ。アートへの興味も深く、その洗練されたセンスや優れた審美眼もショップに反映されている。卒業後は「キャシャレル」でキャリアを積み、ウィメンズデザインに長く携わっていた。そんなある日ボンポワンの創設者と知り合い、アーティスティック・ディレクターを務めることに。それから12年の月日が経つという。「ボンポワンのアーティスティック・ディレクター就任が決まった時、とても幸せでした」と彼女は当時を振り返る。「ボンポワンのことは創立当初から知っていて、自分も娘にも着せていました。とても愛用していたブランドだったんです。そんなブランドを受け継ぐことができて嬉しかったですね」。長年ウィメンズのフィールドで経験を積んできた彼女は、ボンポワンで初めてキッズのデザインにトライした。「ボンポワンのスタイルやデザインはウィメンズやメンズと同様な形を使用することも多いんです。生地選びやプリントの技術といったノウハウもウィメンズと変わらない知識が必要。カッティングやフィッティングを含め、必要な知識や技術は大人も子どもも変わらないんです」とレディースとキッズ両ライン手がけるボンポワンならではのデザインプロセスを明かす。ボンポワンを着ていたキッズが自然とヤングへとシフトできる秘訣もそこにあるのだろう。

ボンポワン店内の様子。

プレタポルテに加え、40周年の節目にクチュールもスタートしたボンポワン。現在ショーを年2回のフォーマルなイベントにすることに決め、キッズとボンポワンを卒業したお姉さんから大人向けのヤム ボンポワンのコレクションを発表している。それに加え、クリスマスコレクションやフォールコレクション、ジュエリー、小物など、すべてのディレクションを手がけている彼女だが、「今のところ全部やっているわ」と笑顔で話し、忙さを微塵も感じさせない。いくつアイデアがあっても足りないだろう。そんな彼女は「映画や旅が好きです。あと展覧会などにも積極的に行き、広い視野で多くのものを見ています」と話す。そしてアイデア源を見つけると同時に、時代の流れも掴んでいるのだ。「時代の空気を掴むことは必須ね。時代は無視できないけど、過去を消し去ってもいけません。これまでボンポワンが大切に培ってきたものを守りつつ、時代にあった新しいものを生みだし、新しいボンポワンを作っていかなければいけないと思っています」と、ボンポワンの歴史をモダンに昇華することに注力している。「旅先で出会う子どもや家族をよく観察します。ファッションだけでなく色々なことが見えてきます。ここ10年、子どもたちはとても早くからファッションに興味を持ち始め、どんな服を着たいかを主張するようになりました。とても変化していると思うんです。子ども自身が自分の好みをはっきりと表現するようになり、服も自分で選ぶ傾向が強まっていますね。親よりも子どもたちの方が情報を持っていることもありますし、幼いながらに自分のキャラクターを打ち出し、活発になっています」。その鋭い観察力はデザインに十分に活かされている。「3歳ごとにお好みや服や特徴は変わります。例えば3歳くらいの女の子はピンクのものを欲しがり、7〜8歳になるとワンピースの好みが出てきて、10〜11歳くらいからはスニーカーや活発なスタイルにも目を向けるようになる。ボンポワンでもそれをカバーできるようにデザインしています」。その時代のキッズが好むスタイルを緻密に計算しデザインを思考している、という。

年齢や性別ごとに分かれる好みのスタイルや色といった特徴を細かく分析し、デザインが生まれる。

世界25ヶ国にショップを持つボンポワンだが、「不思議なことにベストセラーになるアイテムはどこの国でも一緒」だとクリスティーヌは話す。「ボンポワンファンの人たちには共通点があるからだと考えています。国も文化もパーソナリティーも全然違うけれど、旅が好きだったり、アートやインテリアデインに興味を持っている人が多いんです。共通する部分があるからベストセラーも一緒なんでしょうね」。コレクションテーマはベビー、ガール、ボーイ、ヤム ボンポワン全てのラインで統一しているという。「同じモチーフや共通の色を取り入れたりしています。ボーイに関しては、プリントを少なめにしたり、少々異なる色合いをプラスしたり。また、ベビーには柔らかい雰囲気に重点を置き、小さめの柄を使用したりと細かな違いはありますが、ベースのテーマは毎シーズン共通しています」。全く同じではなくでも、どこかに共通点を作り、親子や兄弟&姉妹で共通する服を纏えば、ボンポワンをよりいっそう楽しめる。

店内のあちらこちらには遊び心あふれるアート作品が飾られていて、店の雰囲気作りに一役買っている。

そしてボンポワンといえば、ファッションだけでなくフレグランスやスキンケアも充実している。店に入るとオー ドゥ ボンポワンの香りが漂い、その香りはブランドのアイコンでもある。「ボンポワンを体感してもらえるよう、シグネチャーである香りを包み紙に吹きかける工夫もしています」と細部にまで行き届いた心遣いを見せる。「子どもだけでなく、大人も使えるスキンケアも人気なんです。親子で使用できる香水もあります。香りはホワイトフラワーとオレンジフラワーがベースになっていて、とてもフレッシュ。小さい赤ちゃん用のアルコールフリーもあるので、安心してお使いいただけます」。そして香りの持つ効果についても、「この香りを嗅ぐと心が落ち着き、癒されるんです。嗅覚はとても大事にしています」と子育てママを助けるアイテムとしても一役買うようだ。

スキンケアや香水など、幅広いプロダクトも人気が高い。

出産祝いのギフトの定番として、そして初めての出産を控えている女性からも人気の高いボンポワンの香水だが、「友達へのギフトや自分のためのご褒美になるような、ちょっとスペシャルなアイテムをこれからもたくさん作っていきたい」と、今後の展開にも期待したい。そんなボンポワンの幅広いプロダクトをとにかく楽しんでほしいと話す彼女は、「自由に自分の個性を表現してほしいですね。決してトータルルックで身につける必要はないんです。皆それぞれに合うスタイルを作ってほしいので、ぜひコーディネートに取り入れて楽しんでほしいわ」とコメントした。

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MilK JAPON #35
AUTUMN-WINTER 2017