2 フランスへの旅——フランスの田舎で洞窟壁画を見る

アートの評論家、解剖学者という肩書きを持つ布施英利は、アーティストを志す息子を持つ父親でもあります。ここでは、親子ふたりがヨーロッパ旅行でふれたアート体験を通して、つい子どもに教えたくなるようなプロによるアートの読み解き方、そして布施流子育て論をお届けします!

フランスの洞窟壁画を巡るロードトリップ

イタリアでの旅を終え、フランスに移動した。

リヨンの駅前でレンタカーを借りる。車は、6日後にパリの営業所に返すことになっていた。フランスの田舎の旅が始まる。今回の旅の一番の目的がこれで、ラスコーなどの洞窟壁画を見ようというのだ。

ラスコーに初めて行ったのは、10年ほど前だった。20世紀半ばに発見されたラスコーの洞窟壁画だが、保存のため入場が制限され、レプリカの「ラスコーⅡ」というのを見た。しかしオリジナルではないとはいえ、思いの外の大迫力で、世界中の美術館で色々な美術作品を見てきた自分であるが、その中でも最高傑作なのでは、とレプリカにも関わらず思ってしまった。美術を愛する人には、いちばんにお薦めしたい作品なのだ。自分は、数年前にも、再び行った。

そのラスコーの洞窟壁画の、新しい「ラスコーⅣ」というレプリカが昨年に出来た、とのニュースを聞いた。なんと洞窟の壁面の凹凸の誤差が1ミリ以下という。レーザー光線を使って再現した驚くべき最新のレプリカなのだ。これを見たい。大学院で美術と映像を専攻している息子を連れて旅に出た。そのためにフランスまで来てレンタカーを借りたのだ。

しかし、フランスのドライブは、運転の三重苦である。まず左ハンドルの車、つまり日本と反対の慣れない右側通行。それに借りた車がマニュアル車。もちろん、道路事情も地理も分からない土地への運転。しかも国立公園などの大自然を横切る。

旅先の道路(筆者撮影)

車を何百キロも運転して、ラスコー洞窟壁画の近くにある村に着いた。

泊まった宿の名前が、ホテル・クロマニョン(笑)。ここをベースにして、ラスコー洞窟壁画の最新のレプリカや、その周辺にある、いくつかの本物の洞窟壁画(=フォン・ド・ゴーム洞窟、レ・コンバレル洞窟)を見学した。

ラスコーⅣの見学はネットで予約できたが、本物の洞窟壁画の方は、毎日、先着52名のみ見学可で、受付は朝9時からだ。しかし、早朝7時前には受付前に並ばないといけない、という前情報を得て、6時にはホテルを出た。すでに先客がいて、並ぶための椅子は、あっという間に満席になった。9時に来た人は、チケットが取れず、愕然としていた。

ともあれ、なんとか入場券をゲットでき、本物の洞窟壁画も見ることができた。

洞窟壁画は撮影禁止なので、ここでは洞窟入り口の写真のみを掲載する。この洞窟の奥で、2万年前もの昔、私たちの祖先が絵を描いたのだ。例えばピカソのことを考えてみると、彼は100年ほど昔に絵を描いた。レオナルド・ダ・ヴィンチのことを考えてみると、彼は500年ほど昔に絵を描いた。しかし人間は、そのはるか昔、何万年も前から絵を描いてきたのだ。考えてみれば、驚くべき、すごいことだ。

 

>>次は子どものお絵描きから学ぶこと

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