1 イタリアへの旅——レオナルド・ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』を見る

アートの評論家、解剖学者という肩書きを持つ布施英利は、アーティストを志す息子を持つ父親でもあります。ここでは、親子ふたりがヨーロッパ旅行でふれたアート体験を通して、つい子どもに教えたくなるようなプロによるアートの読み解き方、そして布施流子育て論をお届けします!

子どもにも教えてたくなる、色を使った遠近法のトリック

この夏、長男と見たミラノの『最後の晩餐』だが、じつは「遠くのものは小さい」「一点に修練する」という一点遠近法以外にも、別の遠近法の手法も使われている。色彩の遠近法だ。

『最後の晩餐』は有名な絵だから、ミラノで見たことがなくても、ほとんどの人は、どういう絵か、ご存知だろう。写真やテレビで、何度も見てきたはずだ。しかし本当に「よく見て」きただろうか? たとえば中央のキリストが着ている服は何色か? 紫色? 茶色? それとも赤? 青? お分かりだろうか。キリストは赤い服を着ている。さらに片方の肩に青い布が掛っている。ともあれ、赤い服を着ている。

『最後の晩餐』のキリストの服と背景に注目!

じつは、色にも遠近法というのがあって、赤は手前に飛び出して、青は奥に引っ込んで見える、という効果がある。そして『最後の晩餐』では、赤い服を着た背後の遠景に、青い山がある。この赤い服と青い山が、色彩遠近法の効果で、さらなる遠近法空間の効果を生んでいる。そんな技法によって、『最後の晩餐』は驚くべき効果を発揮している。

 

自分と長男は、その絵の前で、その絵の遠近法の効果について語り合った。そんな風にして、息子とのイタリア・フランスのふたり旅は始まった。

20年以上も子育てをしてきた自分にとって、この旅は「子育ての総仕上げ」という感慨も伴ったものであった。

イタリアの後は、フランスに行った。その話は次回。

MilK JAPONの
iPhoneアプリが登場

マガジンと連動したスペシャルなARコンテンツが楽しめたり、
ウェブのイベント情報をいち早くお届けできるアプリです。

MilK JAPON #34
Spring-Summer 2017