01 学校に行かないのは、悪いこと?
“ 異才” を発掘する、 ROCKET プロジェクト

学校や塾に習いごと、毎日忙しい子どもたちにとって自分らしく生きられる「学び」とはどんなものなのでしょうか?学校教育にとどまらない、独自のエデュケーションを進めるスペシャリストたちが、実践的な新たな学びのかたちを紹介していくコラムシリーズ。
今回は、ユニークな子どもたちの個性を活かす「異才発掘プロジェクト ROCKET」を推進する、東京大学の中邑賢龍先生のお話を、3回にわたりお届けします。

「異才」ってなんだろう?

 私の研究室では、社会不適応をきたした成人の人たちと一緒に働いています。彼らは才能豊かな人たちですが、子どもの頃に認められなかった、排除されたという経験から心理的な不安定さを抱えて苦しんでいます。彼らが子どもの頃、もっと誰かに認められていたらと考えたことが「異才発掘プロジェクトROCKET」を始めたきっかけです。ROCKET とは、Room Of Children with Kokorozashi and Extra-ordinary Talents の頭文字をとったもので、ちょっと変わった才能と志のある子どもたちが集える場所です。「我々は君たちを見捨てない、唯一あるのは君たちが我々を見限る時である」というポリシーを持って、学校になじめない子どもたちを全国から集め、2014年にスタートしました。

 異才、ギフテッド、なんだか不思議な言葉です。オールマイティで一流校に行ってなくてもこの言葉があれば救われるような気がします。ROCKET を開始した当初は、飛び級して一流校に入る子どもたちのためのプロジェクトと誤解されましたが、これは高校や大学進学に関与するプロジェクトではありません。では、ここで言う「異才」とは何を指すのでしょうか。

「どうやって異才を見つけるのですか?」とよく尋ねられます。しかし、我々が異才となる子どもを見つけだせるわけではありません。異才は子ども自身が好きなことを続けた結果、周囲が評価して勝手に名付けるものであり、いまROCKET に参加している子どもたちが将来異才になるかどうかもわからないし、それを期待すべきではないと考えています。異才とは、人の期待に応えて頑張るのではなく、周囲のことをちっとも気にせず前に進んでいく人のような気がしています。誰に何を言われようと好きなことを続けるユニークな子どもを探しているのがROCKET であり、ここに集まった子どもたちがその特性を潰されずに大人になった時にこそ、異才が活躍するイノベーティブな社会が到来するに違いありません。

 ROCKET は学校ではありません。自由な新しいかたちの学びの場で、不登校の子どもたちが、学校長の承諾を得て参加しています。子どもたちの得意とする分野の教育はあえて行わず、それを自分で学んでいけるようなサポートとこれから1 人で生き抜くための教育を行っています。

【中邑賢龍先生 オススメの学びの本】

『育てにくい子は、挑発して伸ばす』著:中邑賢龍(文藝春秋)
「ユニークな子どもは褒めるだけではだめ。挑発されても立ち向かってくる中に異才の芽を発見できる」をテーマとした中邑先生の最新著書。親向けに書かれているが、理解し合えない人間関係に悩む大人にもオススメ。

次の回からは、ROCKETの教育の指針となる、いくつかのポイントをご紹介していきます。ぜひご期待ください。

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