01 学校に行かないのは、悪いこと?
“ 異才” を発掘する、 ROCKET プロジェクト

学校や塾に習いごと、毎日忙しい子どもたちにとって自分らしく生きられる「学び」とはどんなものなのでしょうか?学校教育にとどまらない、独自のエデュケーションを進めるスペシャリストたちが、実践的な新たな学びのかたちを紹介していくコラムシリーズ。
今回は、ユニークな子どもたちの個性を活かす「異才発掘プロジェクト ROCKET」を推進する、東京大学の中邑賢龍先生のお話を、3回にわたりお届けします。

学校に行かないのは、悪いこと?

 ゲームやスマホがもたらすさまざまな刺激、核家族化、画一化した競争社会など、現代は子育てがとても難しい時代です。普通に育てているのにどうしてうまくいかないのか悩んでいる人も多いと思います。特に子どもが不登校になると、家庭での生活リズムが一変し、親の仕事にも支障が生じます。多くの親は子どもを責め立ててなんとか登校させようとしますが、中には心理的不調を訴え、暴力的な行動で激しい抵抗を示す子どももいます。それでも、決して子どもを責めないでください。彼らにとっては、そこに学校があるから不登校という問題が生じているだけです。その子どもの個性や認知特性が、一斉指導を行う今の学校のスタイルに向いてないと考えてもいいでしょう。大切なことは学校に行くか行かないかよりも、その子どもに合った学びの場を提供できるかどうかだと思います。

 今、社会では創造的でイノベーティブな人材が求められています。その一方で、未だ子どもの教育は従来からの協調性のあるオールマイティな人材養成から抜け出せていません。早くから進学塾に通わせ、スポーツ教室で協調性を身につけさせ、余裕があればロボット教室にも通ってSTEM(Science,Technology, Engineering and Mathematics)教育を行うのが現代の理想の子育てになっている気がします。

 不登校になっている子どもは現在、全国に12 万5千人近くいます。私は彼らが努力しない心の弱いダメな子どもであるとは思いません。親や学校の圧力に屈せずに学校に行きたくないという主張ができるのですから。どんなに親や教師から強く言われても、空気を読まず、好きなことをして生き続けているユニークな子どもたちこそ、社会にイノベーションを起こす人材になるのではと私は考えています。空気の読める人材は会議の場で流れを変える発言をすることは避けます。人の役に立ちたいと考える人間は多くの人の考える範囲の中でしか創造性を発揮できません。

 社会のルール遵守が厳格化し効率化が追求されると、規則に従わない、また、時間内に物事を処理できない人は学校や会社組織から排除される傾向が強まります。空気を読まない、役に立たないことを続ける子どもたちは社会に適応できないと考え、幼少期から矯正される時代に入っています。中には発達障害と診断を受ける子どももいます。個性豊かなユニークな子どもたちが潰される社会にはストップをかけなければいけません。

>>次は「異才とは?」を考える。

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