〈HFB Studio〉が撮り下ろした 夢のストーリーの、裏話。

ミルクジャポン34号のためにストーリーを撮り下ろしてくれたクリエイティブユニット〈HFB Studio〉。3人のメンバーは、バスク地方の小さな村でサーフィンを通じて知り合ったのだとか。フランスを代表するセットデザイナーであるパスカリーヌ・フートリー、家具ブランド〈The Hansen Family〉のデザイナー、ゲザ・ハンセン、数多くのファッションブランドのディレクションに携わり、来年オープンするアメリカ最大の現代美術館〈Glenstone Museum〉のクリエイティブも担当するビエル・あい。世界各地で活躍する女性3人が作った、夢のような世界。どのようにしてストーリーを作り上げたのか。制作の裏話を、ビエル・あいさんに聞きました。

ー”Augustus Dream”。このテーマはどのようにして生まれのでしょうか。

最初にインスピレーションを受けたのは、生地でした。テディベアで知られる〈シュタイフシュルテ〉の生地で、何か面白いことをしてみたかったんです。そこから、「夢の中に登場しそうな、生き物みたいな家具を作ろう!」というアイデアが生まれました。

ーユニークな家具がたくさん登場しますね。準備はどのように進められたのでしょうか。

準備を始めたのは、撮影3ヶ月前です。パリにある〈シュタイフシュルテ〉のショールームで衣装と家具に使う生地を選ぶところから始めました。スタジオメンバー3人は別々の国にいることが多いので、毎週スカイプで会議をし、制作は個々に進めました。

ゲザがデザインしたベッドと机はドイツのアトリエで制作。彼女が選んだ木はオーク。重みのある、しっかりした作りで、木の色は明るく仕上げています。

パスカリーヌが担当した椅子達は、よく見ると膝があったり、不思議な関節があったり。本当に楽しい作品に仕上がりました。大きな黒い椅子はパスカリーヌが、彼女の息子の為に作ったもので、王様の椅子がインスピレーション。彼の小さな“帝国”のための椅子をイメージをしたそうです。

本棚は積み木が巨大化したイメージ。いろいろな形を作って、配置を変えながら楽しめる家具を目指しました。

私が担当したヒヨコの椅子は、娘のための初めての椅子を作りたくてデザインしました。何枚もの木の板を重ね、まず直方体を作ってから、彫刻のように掘っていきました。こだわりは見た目だけなく、座り心地にも。娘を妊娠中に旅行でサンタフェに行った際、主人と砂漠をドッジ・チャレンジャーで走った時の乗り心地が忘れられなくて。だからこの椅子は、まるでスポーツカーのシートように、優しく包まれる座り心地になるように作り上げたんです。1歳の子供でも簡単に上がれる高さ、椅子の上に立ち上がっても倒れない安定感、座って落ち着いて絵本が読める幅。そんなことを考えながら、木を1ミリずつ彫っていきました。

机に合わせた小さな椅子も同じにようにバスク地方のアトリエで作成しました。

 

 

ほかにも細かいところまでこだわっていて、ベッドカバーもオリジナル。ビアリッツで生地を探し、ロゴをデザインし、刺繍アーティストの伊藤めぐみさんに刺繍をしていただき、パリのスタジオで縫っていただきました。

ービアリッツ、バスク、パリ、ドイツ。各地で作られたものが集結したわけですね!

そうなんです。撮影のロケーションはゲザの田舎の家、クランスという村で行いました。ゲザが作った家具はドイツのアトリエから、彼女のお父さんとお母さんにトラックで20時間もかけて運んでいただきました。私と今回写真を担当した主人も、バスク地方から家具を積んだ車で10時間かけて向かい、パスカリーヌはパリから本棚、スツール、椅子、衣装をトラックで運びました。モデルになった子どもたちも含めて、撮影に参加してくれたのは総勢30名ほど。みんなに本当に感謝しています。撮影はとても賑やかで楽しい時間でした。おいしいごはんも撮影の思い出のひとつ。2日にわたってパリで活躍中の料理人、室田万央里ちゃんが30人分のごはんを作ってくれました。カラフルで食べやすい、子どもたちも大喜びだったんですよ。

ー撮影が終わったいま、家具はどこにあるのでしょうか!?

今、メンバーそれぞれの子ども部屋に置いています。家具は一点物で今のところ生産予定はないのですが、ゲザがデザインしたベッドのヘッドボード、机は生産して〈The Hansen Family〉のウェブサイト(www.thehansenfamily.com)でオーダーできるようにする予定です!

DATE 2017.05.19

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