LIBRARYFAB LAB2023.12.25

〈FAB LAB 5〉「好奇心ホテル」リゾナーレ大阪の冬の新プログラム

FAB3-1〉〈FAB3-2〉でご紹介した大阪・南港にオープンしたホテル、「星野リゾート リゾナーレ大阪」。ここには、乳幼児教育「レッジョ・エミリア・アプローチ」を取り入れたアトリエを併設しています。
このアトリエで、この冬から始まるのが新プログラム「冬と暮らす」。さっそくFAB LABが体験してきました。

まずは、アトリエ内のプロジェクトルームで予約制で行われる体験型プログラム「冬と暮らす」からスタート。専用の部屋には、冬の大切な食料となる木の実や、稲作で残った藁など、古い民具などのマテリアルや道具たちがズラリ。

道具もとてもプリミティブなものが多く、どこまでが自然のもので、どこからが人が作ったのか、それを考えるだけでも楽しくなってきます。
子どもたちは、こうしたマテリアルを並べたり、組み合わせたりして、思い思いのランドスケープを作り上げていきます。

親は、部屋の外からそっと見守るスタイル。子どもたちは、マテリアルや道具に触れながら、そのカタチに宿る意味や暮らしの様子まで思い浮かべたりする、とてもユニークなプロジェクトです。

箱庭のようなゾーンでは、冬に寒さをしのぐための小屋作ってみたくなったようで、木の枝で骨組みを組み、屋根を藁で葺いた本格的な建物を作る子も。
「おおむかしの人は、どんなふうにして家を作ったのかな?」
「くらしやすい家はどんなかたち?」
など、普段はあまり考えることのない、家の構造について自分なりに一生懸命考えていました。

遊びを通して、子どもたちは人と自然の関わりも感じ取ったようで、
「昔の人は、寒い冬はどんなふうにあったまっていたの?」
「ごはんがないときはどうしてたんだろう?」
など、手を動かしながらもいろいろなことを頭の中にめぐらせたようで、それぞれに素敵な景色が完成しました。
最後に親たちに、自分の力作について考えたことを熱く解説。プロジェクト中の記念写真もおみやげにいただいて、約1時間のプロジェクトは終わります。

そして、もうひとつ、アトリエギャラリーに新しく登場したのが「とりのすごもり」の展示です。大きな鳥の巣の中に、用意された様々なマテリアルを敷き詰めたり、デコレーションしたり、または自分でくるまったりして、巣の中に入り、小鳥になったような体験ができます。

「(マテリアルを)たくさん巣に詰め込むと、なんかあったかい気がする!」
「お友達と一緒に入るともっとあったかい!」
と、子どもたちは動物たちが寒い冬を乗り越えるための知恵を遊びながら学んでいました。

そして、そのまま窓のほうを見ると、高層階から南港を見下ろす絶景が広がります。小さな雛鳥たちが木の上にある巣から見た景色は、このくらい高いところから見下ろす感覚なのかもしれません。こんな高いところから羽ばたいていく巣立ちを想像すると、「最初はちょっと不安かもしれないけれど、大空に舞い上がった瞬間、まったく新しいキラキラした世界が開けていくんだろうな」なんて、親もついつい子どもたちの成長と重ね合わせて想像してしまいます。
なにより、思い思いに飾った鳥の巣にこもっている子どもたちの姿はホントにかわいらしくてフォトジェニック。絶好の記念写真ポイントでもありました。

子どもだけでなく、大人も楽しめるスポットとして、「アトリエカフェ」というラウンジカフェもニューオープン。7メートル近い巨大キャビネットには、ユニークな標本がズラリ。アーサー王の聖杯に使われていたと言われるモルダバイトや、鏡のように光る身体に周りの景色を映し込んで姿を隠す「プラチナコガネ」など、鉱物、昆虫、貝類、魚類など150点以上の標本が並んでおり、一部、手にとって触ったり、観察したりすることができるようになっています。

ギャラリーの「とりのすごもり」イベントと連動して、カフェにも期間限定の「生き物の棲家」にまつわる標本展示がされており、魚たちの棲家になる色とりどりのサンゴなどを見ることができます。中でもびっくりなのは世界最大の貝であるオオシャコガイ。小さな子どもなら中に入れてしまうほどの巨大な貝の棲家です! こうした図鑑でしか見られないもののホンモノを間近に見ることは、子どもたちにも大きな刺激になったようです。

開業から約1年。「星野リゾート リゾナーレ大阪」の子どもたちの好奇心を育てる取り組みは、さらなるパワーアップを続けていました。これからも楽しみです!

星野リゾート リゾナーレ大阪 「創造力を遊びこむ」をコンセプトに、色鉛筆で壁や窓に絵を描くことができる客室や、興味関心をかきたて、さまざまな表現方法で遊びこむ日本最大級のアトリエを備えるホテル。イタリアの乳幼児教育「レッジョ・エミリア・アプローチ」を取り入れ、創造力を育む滞在体験を提供してくれる。
https://risonare.com/osaka

Photograph: Akira Yamaguchi
Produced by STRAIGHT

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