壮絶な出産 その3
「いつこの痛みから解放されるのだろう…」
一晩中、そのことばかり考えるわたくし。
そんなこと考える余裕さえ全くないままに、
ひたすら激痛に耐え続けている奥さん。
緊迫した瞬間が延々と持続し
じりじりと、時は鈍い足取りで
過ぎて行きました。
パラマウントベッドの両側の柵が
あわや、もぎとれるのではないかと
思うほど、ぎしぎしと握りしめ揺らせる
怪力はいったいどこから湧き出るのだろう。
彼女の激闘ぶりを前にして、
不謹慎極まりないと思いつつも、
朝方は眠気が襲ってくるので、
お手洗いで顔を洗うこともしばし。
空はしらじらと明けていきました。
am6:50、ついに子宮口が
10センチ大で全開に。
ほどなく、分娩室へと移動!
(今さらですが、立会い出産でした)
TVなどで幾度と無く目にしたこのお部屋。
そこに、自分が潜入していることの不思議。
陣痛室の平らなベッドに比べ、大きく傾斜したそのベッドでは
明らかに緊張を強いられる体勢に。
冷酷なまでに、刻一刻と増して行く痛みは
ここに来てもなお、追い打ちをかけるかのように
妊婦に襲いかかるのでした。
汗でぐっしょり、目はうつろにさまよい、
極度に消耗しきった全身が
わなわなと震えていました。
いよいよかと思われた待望のシーンは
それでも、なかなか訪れません。
ついには、一度乗った分娩台を降りて、
丸いスツールに座っていきむように促される。
新たな状況で繰り替えされる雄叫びが
無情にも、またやり直しの辛さを
倍増させているように感じられてしまう。
後からお聞きしましたが、
「もう少し時間が経って出て来なかったら
陣痛促進剤、打つしかないかもね」。
という話が出ていたくらい、
切羽詰まった状況で、もはや限界なのは
ド素人の私でも理解できるほど。
それでもなお、耐えて耐えて耐えて、そして耐えて。
寄せては返す痛みに挑んでいると、
助産師さんが、「髪の毛出てきたよ!」とお知らせ☆
そのタイミングで、再び分娩台へ。
助産師さんと私の介添えのもと、
全身の力を振り絞って、そこに上る姿が
この上なく痛々しいこと、、、
もう、完全にラストスパート。
気合を入れなおし、来るべき瞬間に備え、
奥さんの右手を握りしめる。
が、その瞬間、陣痛とともに
尋常じゃない力で握り返され、
穴が開くんじゃないかと思うほど
彼女の爪が手のひらに食い込む!!
無意識でぎゅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーっと。
「やばい、やばい!」
必死で1本1本の指をほどいて脱出!
それから何分ぐらい経ったでしょうか。
「ほらっ、頭出てきたわよ!!」。
(え、まじまじ?? 明らかに動揺)
「じょうず、じょうず!」
「(深呼吸で)赤ちゃんに酸素を送って!」
「(会陰が切れちゃうから)いきまないで!!」
うわっうわっ、焦る焦る、もうでてきちゃう~
am9:33、胎脂と血に覆われた
生命体がぬるりと、その姿を現しました。
実に手際よく、体の血がふきとられた
新生児はすぐさま母親の胸元へ…
おぎゃーーーーー。
なんと感動的な瞬間なのでしょう。
筆舌に尽くし難い気持ち。
小刻みに震える赤子を眼前に抱えた奥さんは
すでに、全てから解放され安堵の表情。
母性たっぷりの微笑で、待ちわびた我が子の
顔をまじまじと確かめるように見つめていました。
神さまご先祖さま家族親族のみなさま
本当にありがとうございました!
感謝と感動で胸いっぱい。
まぁさん、改めて本当に本当にお疲れ様、
そして、ありがとう☆
最近、あちこちの皮がむけはじめました。
